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ベンチャー法務の部屋

ベンチャー企業の経営陣が株式を保有する場合に気をつけるべき3つのこと

0.はじめに

 

2017年9月、私(森理俊弁護士)の所属する事務所が、森法律事務所から、アクシス国際法律事務所に変わりました。場所や電話番号は、変わっておりません。

 

新事務所であるアクシス国際法律事務所では、社会や顧客に、軸(Axis)を示し、事業やなすべきことを促進したいと考えている人や組織のベスト・パートナーになると決意し、プロフェッショナルとしての十分な価値を提供できる体制を構築するべく、日々努力しております。

 

新事務所をスタートさせたこともあり、最近、中断していたこのブログを再開します。

 

1.ベンチャー企業の経営者の悩み

 

さて、ベンチャー企業を経営するにあたっては、様々な悩みがあります。どのような事業を展開するかという中心的な問題のほかに、組織としての中心的な問題として、人の問題があり、お金の問題があります。この二つの問題は、切っても切り離せないものであり、正解があるわけではありません。

 

というのも、その組織に参加する人が、何に意義を感じるか、チームメートと仕事することを楽しい又は有意義と感じているか、人生において何を大切にしているか、等の問題と切り離せないからです。とはいえ、経営者は、なんらかの解を出さなければなりません。一般には、フルタイムでコミットするメンバーには、生活できるだけ以上の現金を支給し、且つ、共通の目標に向かうためのインセンティブを提供しなければならないでしょう。インセンティブは、ビジネスそのものの社会的意義、個としてのビジネススキルの成長、株式又はストックオプションからもたらされる金銭等が考えられます。

 

今回は、複数の経営陣や幹部が株式を保有する場合について、考えます。

 

2.ベンチャー企業の経営陣や幹部が株式を保有する場合に気をつけるべき3つのこと

 

(1)気をつけるべき3つ
複数の経営陣や幹部が株式を保有する場合、以下の3つです。
・最終的に意思決定できるシェア割にすること。
・誰かがいつか離脱しても、組織として存続できるようにすること。
・約束事は明文化して、できれば、署名又は押印すること。

 

(2)最終的に意思決定できるシェア割
まず、ベンチャー企業のように、素早い意思決定が必要な組織、社長の意思決定が極めて重要な組織、代わりの社長を探すのが困難な組織では、2人の場合は、50:50にしない、3人の場合は3分の1ずつにしない、ということです。2人の場合に、その2人の意見が対立すると、組織として最終的に意思決定ができないことになります。3人の場合は、2:1の構造になり、うち1人を追い出すという悲劇が待ち受けることになります。2人の場合は51:49にする、3人の場合は、52:24:24にする等、少なくとも経営陣間では、最終的に意思決定できるシェア割にすることをお勧めします。重要な事由に関しては、協議事項としたり、全員の同意や3分の2の同意等という決め事をしておくことも考えられるかもしれません。

 

特に、対等な三頭政治というものは、機能しないのではないかと思います。古代ローマから帝政ローマに移行するときには、二度の三頭政治(Triumviratus)がなされました。第1回は、カエサルとポンペイウスの戦いという大規模な内戦になりましたし、第2回は、オクタウィアヌスが他の2人を追いやることで帝政を確立することになりました。

 

三人が経営陣として機能する場合は、よほどの信頼関係があるか、1人が強烈なリーダーシップかカリスマがあり、他の2人がそれをサポートするような体制であるかのどちらかではないかと考えます。対等な3人による三頭政治がうまく機能した例を私はほとんど知りません。どなたか知っていれば、個別に、私にお伝えください。

 

(3)組織として存続できるようにすること
次に、組織から離脱した者が株式を保有し続けることは、様々な問題を生じることになります。残念なことに、長年組織を運営していると、当初は共通の夢を持っていた経営陣同士といえども、別れることがあります。
組織から離脱した者に、配当権などの株主権を与え、いつまでも株主総会招集通知を送らなければなりませんし、そのあと、仮にIPOできたとしても、組織の成長に一切関与しなかった者が、利益を受け取ることになり、"フリーランチである"といった不公平感が生じることになります(ここでは経営陣が株式を取得した時の株価は低く、ファイナンス的な寄与はあまりなかったことを前提としています。)。

したがって、経営者間で株式を保有する場合は、組織から離脱した場合に備えて、株式売渡請求権を定めて、離脱した者から株式を買い取れるようにしておいた方がよいです。ここでは、株式売渡請求権の発動事由と株価を明確にしておく必要があります。

 

(4)明文化すること
最後に、上記の約束事は、創業者間(経営者間)契約書といった形で、文書化して、できれば署名又は押印して、法的にも有効であることを明確にしておくことをお勧めします。
(文責:森理俊弁護士)

2017年10月01日 21:29

カテゴリー:ベンチャー・ビジネス||コメントはまだありません

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