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国際法務の部屋

国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書について

平成30年4月、経済産業省より、「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書」(以下、「研究会報告書」といいます)が発表されました。

研究会報告書では、第1章で日本企業の経営環境の変化と法務機能に対する時代の要請について、第2章で日米企業の法務部門の実態について、第3章でこれからの日本企業に求められる法務機能について、第4章で課題と克服について、第5章で関係機関による課題対応の在り方について報告されています。

渉外法務を含めた企業法務に携わる弁護士としてとくに興味深かったのは、第1章と第3章の部分ですので、本稿で取り上げさせていただきます。

まず、第1章では、日本は、少子・高齢化の進展やエネルギー・環境問題といった大きな社会問題に直面しており、2050年過ぎには人口が1億人を割るなど、長期的な人口減少が予測されており、国内の需要減少が続く中で、日本企業にとって、グローバルなビジネス展開の加速は、喫緊の課題となっていると問題提起をしたうえで、日本経済を取り巻く環境変化として、①ビジネスのグローバル化のさらなる進展に伴い、多様なリーガルイシューに対応する必要性が高まったこと、②第4次産業革命(IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボット、シェアリングエコノミー等)のイノベーションの加速に伴い法制度が整備されていない市場の創出・拡大が進んでおり、各企業にとっては、これまで経験したことのない新たなリーガルイシューに対応する必要性が増していること、③2017年秋から、製造業のデータ改ざん等の問題が明らかになったが、企業の社会的責任に対する期待や要求の高まりから、企業のレピュテーションリスクは増大しており、SNSの普及によりレピュテーションリスクは従前よりも広く拡散する傾向にあり、コンプライアンスの強化の重要性が高まっていることを挙げています。

次に、第3章では、上記の日本経済を取り巻く環境変化に対応するための法務の機能として、守り(ガーディアン機能)と攻め(パートナー機能)の2つの観点から整理しています。

まず、守り(ガーディアン)の機能としては、①「最後の砦」として企業の良心となること(「合法かどうか」の判断だけでなく、ビジネス環境・経済・社会・政治・テクノロジー等に関する知識を踏まえた上で、「正しいかどうか」を判断する必要がある)、②コンプライアンス・ルールの策定と業務プロセスの構築及び徹底(グローバルレベルで変わりゆくレギュレーションを自社ビジネスに落とし込み、自社のルール、契約、オペレーションを最適なものとし、企業が法令に則って活動するように業務プロセスを構築しモニタリングする)、③契約による自社のリスクのコントロール、④自社の損害を最小限に抑えるための行動(民事訴訟で訴えられた場合の応訴、消費者クレームや不祥事への対応)が挙げられています。

他方で、攻め(パートナー)の機能としては、①ビジネスの視点に基づいたアドバイスと提案、②ファシリテーターとしての行動(集まってくる情報をもとに、必要な作業とスケジュールを把握した上で、社内外のリソースを迅速に確保・差配し、案件を進行させる)、③ビジョン(社会に提示できる新しい価値)とロジック(現行法における一定の解釈で成立し得るか)を携えた行動、④法令・契約に基づいた正当な主張(取引上のトラブルによる損害の賠償請求など)が挙げられています。

さらに、第3章では、企業が、外部弁護士を活用すべき場面として、①高い専門性が必要となるとき(社内でノウハウが蓄積しない分野)、②セカンドオピニオンを取りたいとき(リスク、インパクトの大きな事案についてステークホルダーへの説明責任を果たすため)、③訴訟、行政処分等へ対応するとき、④中立性・客観性が求められるとき(ex.第三者委員会の委員への委嘱)、⑤リソースが足りないときが挙げられています。

上記の第1章及び第3章を読んで、当事務所としても、日本経済を取り巻く環境変化に対応できるように最新のビジネス及び法律上の知見の習得を怠らず、守りと攻めの2つの法務機能を意識しつつ、外部弁護士に求められる上記の役割をあまねく充足できるように日々研鑽を積む必要があると感じました。

以下、経済産業省のリンクを挙げておきます。

http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180418002/20180418002.html

 

文責:河野雄介

 

2018年05月14日 10:15|カテゴリー:

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