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ベンチャー法務の部屋

古物営業の許可について(1)

第1 はじめに

 

平成29年12月21日、警察庁の有識者会議は、古物営業の在り方に関する報告書をまとめました。

 

同会議では、時代の流れに合わせた古物営業の形態の変化等に伴い、現在のニーズに即した古物営業の在り方について検討が行われました。

 

ところで、皆さんは、「時代の流れに合わせた古物営業の形態の変化」という言葉にピンとくるでしょうか。「古物営業って質屋さんのことじゃないの?質屋さんって減ってるのでは?」という方も多いのではないでしょうか。

 

ところが、「現在のニーズに即した古物営業の在り方」という言葉にもあるように、「古物営業」は現代社会においても我々の生活の一部になっています。たとえば、メルカリ、ヤフオクといったインターネットの発達、古本市場、ブックオフ、コメ兵といった店舗の全国展開によって、我々は容易に中古品を売却し、購入することができるようになりました。このように、時代の流れに合わせた古物営業の形態の変化等に伴い、古物営業法は避けては通れない法律となっています。

 

そこで、今回は、「古物営業法」とはどのような法律なのか、ということについて紹介し、次回以降、メルカリやヤフオク、リサイクルショップやフリーマーケットと古物営業法の関係、そして、「古物営業の在り方に関する有識者会議」ではどのようなことが議論され、古物営業法がどのような方向に向かおうとしているのかについても紹介したいと思います。

 

 

第2 古物営業法とは

 

1 趣旨

 

そもそも、古物営業法とはどういう目的で定められた法律なのでしょうか。

 

この点について、古物営業法は第1条でその目的について、「盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。」と定めています。

 

すなわち、古物商が盗品等の処分先として利用されることが多いことから、盗品売買の防止等を図ろう、というのが古物営業法の目的です。古物営業法はこの目的を達成するために、古物営業を許可制として、種々の規制を加えています。

 

したがって、これから古物営業法に関わる問題を考えていくにあたっては、この古物営業法の目的を念頭においておく必要があります。

 

 

2 どういう時に許可がいるの?

 

それでは、古物営業法は、どのような場合に許可を要すると定めているのでしょうか。

 

(1)「古物営業」とは

 

古物営業法は、第2条第2項において、次の3つの営業を、「古物営業」と定めています。

 

①古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業(例:リサイクルショップ)

 

②古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場)を経営する営業(例:古物商のみが参加できる古物売買・交換の場)

 

③古物の売買をしようとする者のあっせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに限る。)により行う営業(例:インターネットオークション(古物営業法施行令第3条)(古物営業研究会著 2訂版「わかりやすい古物営業の実務」14頁、3頁参照)。

 

なお、①については、次の2つの営業形態については規制対象から除外されています。

 

ア (古物の買取りを行わず)古物を売却することのみを行うもの

 

イ 自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの

 

これらが①から除外された理由は、盗品等の混入のおそれが低いためです。

 

アの例としては、無償、または引取り料を徴収して引き取った古物を修理、再生等して販売する形態のリサイクルショップが挙げられます。もっとも、古物の買取を行っている場合には、古物営業に該当することになります。また、いわゆるバザーやフリーマーケットについては、その取引されている古物の価額や、開催の頻度、古物の買受の代価の多寡やその収益の使用目的等を総合的に判断し、営利目的で反復継続して古物の取引を行っていると認められる場合には、古物営業に該当するとされています。(平成7年9月11日警察庁丁生企発104号「古物営業関係法令の解釈基準等について」4頁参照。)

 

イの例としては、AがBに売却した物品をAがBから第三者を介在させずに買い戻すといった行為だけを行うものが挙げられます。

 

(2)「古物」とは?

 

それでは、「古物営業」で取引の対象となる「古物」とは何をいうのでしょうか。

 

古物営業法は、第2条第1項において、

 

① 一度使用された物品

 

② 使用されない物品で使用のために取引されたもの

 

③ これらの物品に「幾分の手入れ」をしたもの

 

を、「古物」と定めています。

 

まず、古物営業法第2条第1項にいう「使用」とは、物品をその本来の用法に従って使用することをいい、衣類についての「使用」は着用、自動車についての「使用」は運行の用に供することをいいます。

 

次に、古物営業法第2条第1項にいう「使用のために取引されたもの」(上記②)とは、自己が使用し、又は他人に使用させる目的で購入されたものをいいます。したがって、小売店等から一度でも一般消費者の手に渡った物品は、それが未だ使用されていない物品であっても「古物」に該当します。例えば、消費者が贈答目的で購入した商品券や食器セットは、「使用のために取引されたもの」に該当するとされています。(平成7年9月11日警察庁丁生企発104号「古物営業関係法令の解釈基準等について」2頁参照。)

 

また、「幾分の手入れ」(上記③)とは、物品の本来の性質、用途に変化を及ぼさない形で修理等を行うことをいい、例えば、絵画については表面を修補すること、刀については研ぎ直すことをいうとされています。(同上)

 

なお、「物品」には、鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手等は含まれますが、船舶、航空機、工作機械等の大型機械類は含まれません。

 

(3)まとめ

 

したがって、(2)に挙げた「古物」を対象とした、(1)の「古物営業」を営もうとする場合には、都道府県公安委員会の許可を受けなければならない(古物営業法第3条1項、2項)ことになります。

 

 

上記の知識を前提として、次回は、メルカリやヤフオク、リサイクルショップやフリーマーケットと古物営業法の関係、そして、「古物営業の在り方に関する有識者会議」ではどのようなことが議論され、古物営業法がどのような方向に向かおうとしているのかについて紹介したいと思います。

 

(文責:三村雅一)

 

2018年05月21日 18:20|カテゴリー:その他, 企業法務コメントはまだありません

ベンチャー・ファイナンスに関連する用語の整理(その1)

ベンチャー・ファイナンスに関連して、「用語の意味がわからない(ので、こっそり会議中にググりました)」等の意見や感想を耳にすることが少なくありません。

そこで、思いつく範囲で、ひとまず、私に分かる範囲で、ベンチャー・ファイナンスに関連する用語を解説しようと思います。
なお、個人的な印象が入る上に、厳密な定義とは異なるかもしれませんが、そのあたりはご容赦いただければと思います。(誤解などについて、ご指摘いただければ、幸いです。)

ひとまず、順不同です。

 

1.ベンチャー投資
ベンチャー投資とは、ベンチャー企業に対する投資のことです。ベンチャー企業に対する投資において、もっともな重要な点は、「投資」であり、「融資」ではない点にあります。
ベンチャー企業は、借入をする場合(=銀行や政府系金融機関等からの「融」資を受ける場合)もありますが、ベンチャー企業が担保にできる資産を保有しているケースは稀であり、元本の一部と利息を支払いながら経営するには不向きなビジネスモデルであることも少なくありません。
一方、株式を発行して資金を調達すること(=「投資」を受けること)で、返済義務を負わなくて済むため、資産に乏しく、初期に開発が先行するタイプのビジネスモデルのベンチャー企業は、投資家から「投資」を受けることが多いです。

そのため、ベンチャー企業は、ベンチャー・キャピタルや事業会社、個人投資家に、自らに「投資」をしてもらうために、技術力やチームメンバー、事業戦略、事業への情熱、自社が発展することで解決される問題等をアピールして、将来性があり、企業価値が高いことをアピールすることになります。投資家側は、このアピールを受けて、投資に値すると判断した企業に投資します。
 

2.Exit(イグジット・エグジット)
Exitとは、投資資金の回収のことです。ベンチャー企業に投資した投資家は、どのように利益を上げるかについて、 保有している株式を売却することを想定しています。そして、株式の売却の方法は、金融商品取引所への上場(IPO)による場合と、M&Aによる場合があります。

なお、投資家が投資資金を回収する手段として、理論上は、配当が考えられます。しかし、実務では、配当を狙って、ベンチャー企業に投資をする投資家はほぼいません。利益が潤沢に有り、且つ、再投資するよりも配当(投資家に還元)した方がよい企業は、極めて少ないためです。
 

3.IPO(アイ・ピー・オー)
IPOとは、株式が金融商品取引所へ上場することです。Initial Public Offeringの頭文字をとったものです。
 

4.VC(ブイシー・ヴィーシー)
VCとは、ベンチャー・キャピタルのことです。ベンチャー・キャピタルは、ベンチャー企業への投資に特化したファンドであることが多いです。法的には、投資事業有限責任組合です。投資事業有限責任組合に関する法律に基づく組合であり、英語表記では、LPS(Limited Partnershipの略)と表現されることがありますが、実際には「ファンド」と呼ばれていることが多いように思います。

ベンチャー・キャピタルは、ベンチャー・キャピタルを運営する専門の会社によって、運営されていることが多く、その会社をGP(ジー・ピー。無限責任組合員。General Partnerの略)といいます。そして、ベンチャー・キャピタルのファンドに投資している投資家をLP(エル・ピー。有限責任組合員。Limited partnerの略)といいます。

ベンチャー・キャピタルから投資を受けたいベンチャー企業は、このベンチャ・キャピタル側の事情もよく理解しておいた方がよいかもしれません。特に、LPに、どのような投資家がいるのか、金融機関なのか、事業会社なのか、等は、重要なVC選択の要素です。

ベンチャー企業にとっては、VC側の担当者が誰であるのか、面倒をどのくらいみてくれるのか、その裏返しとして、どのくらい干渉してくるのか、という点も、選択に際しては、重要です。
 

5.エンジェル
エンジェルとはベンチャー企業に投資する、又は投資しようとする個人投資家のことです。個人であるため、個人的信頼関係で出資することも少なくなく、ベンチャー企業の成長の初期段階での投資が多いです。ベンチャー企業からの目線でいえば、信頼できる個人であるか、将来紛争にならないか、に加えて、必要以上にシェアを確保しようとしていないか等の観点も重要です。もし個人投資家が、1~200万円等の低額の出資で、貴社の10%以上のシェアをとろうとするのであれば、将来のファイナンスに悪影響を及ぼす可能性があることに、十分に留意する必要があります。
 

今回はここまでとし、次回以降、他の用語にも適宜言及したいと思います。

2018年05月01日 18:05|カテゴリー:ベンチャー・ファイナンスコメントはまだありません
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