ここから本文です

ベンチャー法務の部屋

古物営業の許可について(2)

前回のブログでは、古物営業法が、盗品売買の防止等を図ることを目的とした法律であり、古物営業法はこの目的を達成するために、古物営業を許可制として、種々の規制を加えていることについてお伝えしました。さらに、古物営業法に定められた「古物」とは?「古物営業」とは?ということについても紹介しました。

 

今回は、リサイクルショップ、フリーマーケット、バザー、メルカリ等のフリマアプリと古物営業法の関係について紹介します。

 

第1 リサイクルショップと古物営業法

まず、一般的なリサイクルショップは、買い取った古物を販売するという形態をとるため、「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業」(古物営業法第2条第2項第1号)の「古物営業」に該当することになり、古物営業法の適用を受けることになります。

 

もっとも、無償、または引取り料を徴収して引き取った古物を修理、再生等して販売する形態のリサイクルショップの場合には、(古物の買取りを行わず)「古物を売却することのみを行うもの」(古物営業法第2条第2項第1号)に該当することから、古物営業には当たらず、古物営業法の適用を受けません。

 

第2 フリーマーケット・バザーと古物営業法

バザーやフリーマーケットについては、前回の記事でも解説したとおり、その取引されている古物の価額や、開催の頻度、古物の買受の代価の多寡やその収益の使用目的等を総合的に判断し、営利目的で反復継続して古物の取引を行っていると認められる場合には、古物営業に該当するとされています。(平成7年9月11日警察庁丁生企発104号「古物営業関係法令の解釈基準等について」4頁参照。)

 

もっとも、一体どの程度の取引を行えば、「営利目的で反復継続して古物の取引を行っていると認められる」のかが問題となります。

 

この点については、平成18年1月31日付経済産業省「特定商取引法の通達の改正について」で、インターネットオークションにおいて、特定商取引法の「販売業者」に該当すると考えられる場合として紹介されている内容が参考になると考えられます。

 

対象となるカテゴリー、商品によって基準は異なりますが、「全てのカテゴリー・商品」について、例えば、以下の場合には特別の事情がある場合を除き、営利の意思を持って反復継続して取引を行う者として販売業者に該当すると考えられるとされています。

①過去1ヶ月に200点以上又は一時点において100点以上の商品を新規出品している場合、②落札額の合計が過去1ヶ月に100万円以上である場合、③落札額の合計が過去1年間に1,000万円以上である場合。

 

なお、平成28年9月14日付のニュースで、「嵐」のコンサートチケットを転売したとして、25歳の女性が古物営業法違反(無許可営業)の疑いで逮捕されるという事件が起こりました。チケット転売がなぜ古物営業法違反になるのか、この疑問は、正に上で述べてきた内容が回答となります。すなわち、この女性は、2015年11月から12月の間に、3名に対しコンサートチケット5枚を計4回、インターネットの転売サイトで売っていました。それだけではなく、女性はチケット交換サイトでコンサートチケットを入手した後、転売サイトに出品して高値で販売するという手口で、2014年10月から2018年4月までの間に168名に対してチケット299枚を販売し、約1000万円の売り上げを得た疑いがあり、これが、営利目的で反復継続して古物の取引を行っていると認められたものと考えられます。

 

このように、チケットの転売であっても、その具体的態様に照らし、「古物営業」として、古物営業法の規制の対象となることがあります。

 

 

第3 フリマアプリ、フリマサイトと古物営業法

インターネット上のフリーマーケットアプリやフリーマーケットサイトは、インターネット上において、個人間で直接に物を売買する場を提供するものであり、また、その方法が競りによるものではないため、インターネット上のフリーマーケットアプリやフリーマーケットサイトの運営業者は古物営業法に規定された古物競りあっせん業者には該当せず、法規制の対象外となっています。

 

もっとも、フリマアプリ等で出品をする場合には、第2で紹介した「インターネットオークションにおいて、特定商取引法の「販売業者」に該当すると考えられる場合」を参考にする必要があり、「営利目的で反復継続して古物の取引を行っている」と認められた場合には、古物営業法の許可が必要となることにご注意ください。

 

この点、古物営業法規制の対象外となっているとはいえ、現在のメルカリ等のフリマアプリにおいては、「盗品売買の防止」等の観点から、利用者には厳格な本人確認を要求するなど、古物営業法の趣旨を踏まえた自主ルールを作成し取り組みを強化しています。

 

なお、個人間の売買を目的としたメルカリではなく、中古品の買取と再販売を想定している「メルカリNOW」については、「古物営業」(古物営業法第2条第2項第1号)に該当することから、古物営業の許可が取得されています。

 

このように、その取引が「古物営業」(古物営業法第2条第2項)に該当するか否かの判断は容易でないため、弁護士等の専門家への相談をおすすめします。

 

次回が古物営業法に関する最終回となります。次回は、「古物営業の在り方に関する有識者会議」ではどのようなことが議論され、古物営業法がどのような方向に向かおうとしているのかについても紹介する予定です。

 

(文責:三村雅一)

2018年06月15日 10:11|カテゴリー:その他コメントはまだありません

ベンチャー・ファイナンスに関連する用語の整理(その2)

今回も、ベンチャー・ファイナンスに関連する用語の整理です。
前回の「ベンチャー・ファイナンスに関連する用語の整理(その1)」の続きです。

 

6.CVC(シーブイシー・シーヴィーシー)
CVCとは、コーポレート・ベンチャー・キャピタルのことです。ベンチャー・キャピタルは、前回「4.VC」で触れています。
CVCは、GPが大企業の子会社で、LPがその大企業であることが多いです。大企業がこのようなベンチャー・キャピタル事業をする主な目的は、一般的に、資産運用だけではなく、最先端の技術を探索して、情報を得つつ、出資元となる大企業に有用な技術を獲得することにあると言われているように思います。ここ数年はCVCが乱立する傾向にあり、歴史のあるVCと比較すると、例外もありますが、歴史や経験の浅いCVCも少なくありません。自社の株主としてCVCを選ぶ場合には、どのような連携や協業ができそうか等もよく検討した方がよいかもしれません。
 

7.ステージ
ベンチャー・ファイナンスの世界では、ステージとは、投資を実行する際に、発行会社がいる段階を意味します。シード・ステージ、アーリー・ステージ、ミドル・ステージ、レイト・ステージなどという使われ方をします。
シードとは「種(seed)」のことであり、企画と構想の段階で、ざっくりと500~1000万円程度の資金調達額を目指すようなステージを意味することが多いです。勿論、これに当てはまらない調達額のファイナンスも数多くあります。そもそも、ファイナンスを「シード」や「ミドル」と言っていたところで、何か特別な効果があるわけではありません。あくまで目安です。

 

8.投資契約
ベンチャー投資における投資契約は、株式総数引受契約(会社法第205条)とは別に、投資家と発行会社の間で、締結する投資に関する契約です。ほとんどの場合、投資家側の要望により締結されます。投資家は、投資契約を締結することにより、(i)会社法に定められた株主としての権利以上の権利を得る、(ii)表明保証条項により投資契約締結時点の状況を把握しやすくしつつ、虚偽の情報や誤解に基づく投資を避ける、(iii)投下資本の回収についての想定する手段と時期を発行会社と共有する等のメリットを得ることができるためです。これらのメリットは、VCの業務執行者(=GP)が、VCにとっての投資家(=LP)への説明責任を果たすためにも、必要であるといえます。発行会社は、VCから投資契約書の提案を受けた場合、VC側の事情も理解しつつ、自社にとって、過大な負担や過度に不利益な条項を排除するための交渉をすることになります。目的が理解できない条項がある場合や、相場がわからない、すなわちどの程度の条件であれば、一般的といえるか、わからない場合は、ベンチャー・ファイナンスに詳しい弁護士に質問されるのがよいでしょう。
 
具体的には、投資に係る発行概要(株式等の種類、種類株式の内容、数、価格、払込期日等)、資金使途、表明保証等の投資の前提条件、投資実行の条件、契約違反が生じた際の取り決め等が骨格となります。他に、誓約事項、事前承認事項、事前通知事項、事後報告事項、取締役の指名権、オブザーバーの指名権、希薄化防止条項、秘密保持、一般条項等が定められることも少なくありません。

 

9.株主間契約
株主間契約は、発行会社、創業株主及び主要な投資家の間で定められる、株式の異動や株式に係る権利行使に関連して、株主間の権利義務関係を取り決めたものです。投資契約は、その株式引受自体に関する事項を骨子とする契約であり、株式引受という取引そのものを対象としていることと比較すると、株主間契約は、投資家が株主となった後、Exitするまでの期間を対象とした長期間の契約関係を対象としているといえます。
 
具体的な条項は、投資語の会社経営に関する事項、情報開示に関する事項、株式に異動に関する事項、投資家のExitに関する事項等で構成されています。

 

10.財産分配契約
投資家、エンジェルや従業員株主と創業株主が当事者となって、株主が会社と利害関係を有しなくなった場合や、発行会社にM&Aが生じた場合、個人株主が死亡等のアクシデントに見舞われた場合を想定して、株式の異動等について明確にするの契約書です。実際の契約書名は、「合意書」「買収に係る株主分配等に関する合意書」「株主間における合意書」「株主間契約書」となっていることが多いです。
 
具体的には、みなし清算条項(Deemed Liquidation)、共同売却権/売却請求権/同時売却請求権(Drag Along Right)や、株式買取請求権が規定されています。みなし清算条項とは、発行会社にM&Aが生じた場合に、発行会社を清算したものとみなして投資家に対して分配を行うことを内容とする定めをいいます。共同売却権/売却請求権/同時売却請求権は、多数の投資家の賛成等の任意に設定された一定の要件を充たした場合、発行会社、創業株主に限らず、他の株主に対しても買収に応じるべきことを請求することができる権利を意味します。株式買取請求権とは、死亡や成年後見開始決定等、退職等のイベントが発生した場合に、経営支配株主が当該イベントが生じた者(又はその包括承継人)から会社株式を買い取れるように、株式の買取りを請求することができる権利を意味します。
 
続きます。
 
(文責:森 理俊)

2018年06月01日 21:35|カテゴリー:ベンチャー・ファイナンスコメントはまだありません
1