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国際法務の部屋

中国の個人情報保護法制について

2019年2月13日付け日本経済新聞朝刊に、このような記事が掲載されました。

 

「中国河北省の省都、石家荘市の一角。結婚に向け新居を探す喬茂虎さん(33)がスマートフォン(スマホ)を熱心に操作し始めた。「老頼地図」というサービスを使い、半径500メートルに住む借金の未返済者の住所や氏名、借金額を表示。近くに100人以上いることがわかると、思わず顔をしかめた。「住環境が悪い」。別の場所に住もうと決めた。」

 

この記事の内容は、中国法務を取り扱っている者には周知の事実ではあったものの、そうではない一般の日本人には衝撃的な事実であったようで、私の周辺でも、反響がありました。

 

2019年2月現在、中国には、日本における個人情報保護法に相当するような、個人情報保護のための基本法は存在しません。刑法や消費者権益保護法等の法令の中に、個人情報の取扱いに関する個別の規律が存在しています。

また、2017年6月には、サイバーセキュリティ法が施行され、ネットワーク事業者の情報セキュリティ体制構築義務や、責任者設置義務等が規定されました。同法の詳細は別の機会に紹介したいと思いますが、中国国内で収集した個人情報の海外移転が原則として禁止されている点に特徴があり、これにより、企業のビジネスモデルや子会社管理に多大な影響を及ぼしているようです。

さらに、その後、健康や安全に関するビッグデータの管理に関する規則が制定されるなど、サイバーセキュリティ法の関連法令が、多数、施行されていますし、施行に向けて作業が行われている関係法令も多数存在します。

 

このように、中国における個人情報に関しては、多数の法令による規律が錯綜している状態ですから、中国国内において、または、中国に居住している個人に関連して、個人情報の管理等にまつわるビジネスモデルを実行する場合には、慎重な検討が必要となります。

 

(文責:藤井宣行)

2019年02月19日 08:52|カテゴリー:|コメントはまだありません

腐敗防止指数ランキングについて

先日、大阪商工会議所主催のセミナーにて「海外取引におけるコンプライアンス、海外贈賄防止に関する規律と実例」をテーマにお話をさせていただきました。

その中で、海外における贈賄防止の手法としてリスク・ベース・アプローチをご紹介しました。リスク・ベース・アプローチとは、企業活動を行う際のリスクを評価・検証したうえで、高リスクの事象から優先的にリスク管理のための経営資源を投入していくというアプローチ手法です。

そして、贈収賄防止におけるリスク・ベース・アプローチとしては、①贈賄が起こりやすい行為類型(入札、許認可の取得や、現地エージェントやコンサルタントの起用)について重点的に贈賄防止のためのリスク管理体制を構築する、②贈賄が起こりやすい国における取引や海外拠点について優先的に贈賄防止体制を構築するなどのアプローチが考えられます。

このうち、②のアプローチをとり、国別で贈賄リスクを評価・検証するにあたっては、トランスペアレンシー・インターナショナルが毎年発表している、「腐敗防止指数」が有益です。

2018年版の腐敗防止指数ランキングでは、デンマークが1位、シンガポールは3位、日本は18位、米国が23位、マレーシアは61位、中国は87位、インドネシアは89位、フィリピンとタイが同率で99位、ベトナムは117位、ミャンマーは132位、カンボジアは161位となっています。

このランキングからすると、シンガポールを除くASEAN各国や中国については、なお贈賄リスクが高い国として認識すべきであり、しっかりとした贈収賄防止の体制(内部通報体制や、外部通報窓口の設置等)を構築する必要があると考えます。

 

(文責:河野雄介)

2019年02月08日 20:53|カテゴリー:|コメントはまだありません
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